
『幻のサウナ』畑冷泉館の霊水と、櫻堂の白水 福岡サウナの聖地・畑冷泉館さんと語る、超軟水の水風呂

サウナを作るなら、畑冷泉館の水風呂を再現したい
私たち櫻堂が毎年通う『畑冷泉館』。夏の営業前やシーズン後の掃除にも参加するほど、あの水に惚れ込んできました。サウナを作るなら、畑冷泉館の水風呂を再現したい——そう思い続けて生まれたのが、櫻堂の水風呂・超軟水「白水」です。サウナシュラン2025の選定理由も、この水が。そして今日、本家のみなさまに、博多の櫻堂までお越しいただきました。櫻堂の水を見て、入って、語っていただいた一日の記録です。
畑冷泉館とは——神社の境内にある、夏だけの水場
畑冷泉館の境内には、年中通して水を汲みに来る方が絶えません。ポリタンクを提げたご近所の方、この水を目当てに遠くから車を走らせる方。まずは神社に手を合わせ、一口飲む。水風呂は、その続きにあります。
運営は豊前市。利用料でまかなわれ、水風呂が開くのは夏のあいだだけ——雑誌では「1年で約1か月しか開かない幻のサウナ」と紹介されてきました。


サウナより先に、水風呂があった
もとは、求菩提山の修験者が山に入る前、穢れを落とすための禊の場。明治に水神社となり、樹齢800年を超える大楠の根元から湧く水を、その土地の人たちが露天の水風呂として守ってきたのです。サウナのために水風呂を作ったのではなく、水風呂が先にあって、サウナはあとから添えられました。
サウナーにはサ室の前にまず水風呂へ入る「水通し」という作法があります。しかし、ここでは作法の話ですらなく、水風呂そのものが目的地。豊前市の方の言葉に「畑冷泉館のサウナは水風呂を楽しむためのもの。水風呂が主役」というものがあります。世間で考えられているサウナと水風呂の関係が、ここでは主従が逆になるのです。


九州の名水百選、泉源は謎
畑冷泉館の水風呂は、水温が15〜16度。機械を通さない掛け流しで、九州の名水百選にも選ばれています。サウナイキタイのサ活には「とろけるような肌あたり」「ずっと入っていられる」「神の水」という言葉が多く並びます。羽衣、体になじむ水。同じ水質が、同じ言葉で語られ続けている場所です。
古い文献には湯が出ていた記述があったことから、「湧水」ではなく「冷泉」の名が残ったという説もあります。そして、泉源は今もなお、謎のまま。

畑冷泉館は、福岡県豊前市の水神社境内にある湧水の水風呂施設です。樹齢800年を超える大楠の根元から湧く15〜16度の水をそのまま掛け流し、夏のあいだだけ開きます。SAUNA SAKURADOの「白水」は、この畑冷泉の水を手本に作られた超軟水の水風呂です。
水汲みや行き方の実用情報は、豊前市の畑冷泉館公式ページで確認できます。

白水が生まれるまで
初めて畑冷泉館の水に入ったとき、この水風呂を中核に据えたサウナを作りたい、そう感じました。冷たさより先に、なじむ感覚が来る水。


サ活で「まろやかで溶ける」「優しく包み込まれる」と語られている、あの肌あたりです。博多であの水を再現したい——夏ごとに通ううちに、その気持ちは強くなっていきました。
弱アルカリ性でシリカを含む超軟水に、マイクロバブルを立ててた白水
そうして生まれたのが白水です。弱アルカリ性でシリカを含む超軟水に、マイクロバブルを立てて、常に掛け流しています。水深は90cm・100cm・110cm。


肩まで浸かれる深さにしたのは、畑冷泉で覚えた、体ごと水に沈む感覚を手放したくなかったからです。サ活に「冷たいのに肌がヒリつかない軟水」という言及が続くのを見るたび、あの水の顔が浮かびます。手本はいつも、あの水風呂でした。
超軟水でととのえる 白水 〜しろみず〜畑冷泉館のみなさんを櫻堂にご招待した日
7月の午後、畑冷泉館のみなさんが櫻堂に到着しました。迎える側の私たちは、朝から落ち着きません。毎年掃除に通っている場所の方々に、その水を手本にした水風呂を見てもらう日。
サウナルームに案内すると、みなさんはまず水風呂を覗き込みました。
「水、おー、近いですね」
その一言で、少し肩の力が抜けました。





一通り内覧を終えると、タオルを手に、扉の前で振り返り、「それでは、はいってきます」と皆さま。
扉が閉まって、あとは待つだけ。
サウナで温まり、白水に沈み、そのまま個室で内気浴。ほうじ茶のセルフロウリュをかけながら、温冷交代浴を繰り返す。いつも私たちがしていることを、本家のみなさんがしている。その時間の長さが、そのまま答えのように感じられました。

対談|白水の水風呂とサウナ、本家はどう感じたか
湯上がりのみなさんと、お茶を囲んで座りました。話し手は畑冷泉館のみなさん、私たちは聞き役。録音を回して、最初の質問はひとつに決めていました。
── いかかがでしたか、白水は?
- 畑冷泉館さん
- 入るまでは、ちょっと勇気がいるというか。でも、入ってしまえばもう平気。私、5分入ってましたからね(笑)
- 櫻堂
- 5分。畑冷泉館の入り方ですね
- 畑冷泉館さん
- 畑冷泉館でも大体5分、10分入ろうと思ったら入れるんで。あれに、近い
「近い」。この言葉が聞きたくて、私たちは水を作ってきました。
- 櫻堂
- 水深はどうでしたか。90から110センチあるんですが
- 畑冷泉館さん
- どのパターンでも入れるのが、なんかいい。水深が深いのはいいですね
立っても、階段に腰かけても、肩まで沈んでも。畑冷泉館にはない深さを、面白がってもらえたようでした。
── 「攻めてくる熱」と「包まれる熱」
- 櫻堂
- サ室の熱は、向こうとどう違いました?
- 畑冷泉館さん
- 向こうは、もうほんと攻撃的な熱なんですよ
- 櫻堂
- 攻めてくる熱さ(笑)
- 畑冷泉館さん
- こっちは、なんか包まれる熱さ
- 櫻堂
- ストーンを多めに積んで、換気も回しているんです。息は苦しくなかったですか
- 畑冷泉館さん
- 息苦しさは、なかったです
- 櫻堂
- 空間の感じはどうでした?
- 畑冷泉館さん
- 畑冷泉館は、田舎のノスタルジックな空間でしょう。こっちはすごく近代的で。対照的な癒しの時間ができたかな、と
対照的、という言葉が残りました。同じ水を目指しながら、川と緑の畑冷泉と、博多のプライベートルーム。似せるところと、違っていいところが、この日はっきりしました。




── お湯も、同じ水
- 櫻堂
- 畑冷泉館は、夏だけですもんね
- 畑冷泉館さん
- 冬場は畑冷泉館に入れんけど、ここなら疑似体験できる。プラス、お湯があるのがいいですね。あの温かいのも、やっぱり同じ水でしょう?
ぬるま湯も、水風呂と同じ超軟水で張っています。そこに最初に気づいてくれたのが、本家のみなさんでした。
- 櫻堂
- ありがとうございます
- 畑冷泉館さん
- もう、近くに作ってください(笑)
この日いちばん、嬉しい一言でした。
冬は入れない畑冷泉を、白水で
畑冷泉館が開くのは、夏のあいだだけ。9月になれば水風呂は閉まり、次の夏まで、あの水に入る方法はありません。毎年その日が来るたび、私は少し途方に暮れていました。
白水は、畑冷泉の水そのものではありません。
それでも、あの水風呂を手本に、弱アルカリ性の超軟水を深い浴槽に掛け流しています。サウナイキタイのサ活には「水が本当に気持ち良い」「ととのわないはずがない」という言葉が並び、ほうじ茶ロウリュの香りへの言及も続いています。
本家のみなさんの「疑似体験できる」というお言葉を胸に
当日、本家のみなさんが言ってくれた「疑似体験できる」は、これからの一年への、何よりの追い風でした。そして、お湯。同じ超軟水のぬるま湯なら、冷たい水が苦手な方も、あの水質を肌でゆっくり味わえます。畑冷泉では足だけつけて帰る方も、ここなら湯から始められます。
夏は豊前へ、冬は博多へ。白水は一年中、あの水風呂を想いながら流れています。
サウナシュラン2025もいただいたSAUNA SAKURADOは、
福岡の聖地「畑冷泉館」さんの水の心を胸に。
お越しいただいた日の帰り際、「今後とも」と言い合いました。福岡のサウナの聖地として、水を大切にいただき運営されている手本にさせてもらう側と、夏を守る側。この関係を、これからも続けていきます。白水そのものについては、白水 〜しろみず〜のページで紹介しています。




ハーブや茶葉を選ぶことができ、幾層にも重なる香りが意識を深く解きほぐしていく。浴槽には超軟水を採用し、深さのある水風呂が静かに身体を包み込み、心身ともにリラックスできる。by SAUNACHELIN
神秘の水風呂、福岡サウナの聖地へ
福岡県豊前市の水神社境内で、夏のあいだだけ開く畑冷泉館は、「幻のサウナ」と呼ばれています。主役は、樹齢800年を超える大楠の根元から湧く15〜16度の水を、機械を通さずそのまま掛け流す水風呂。
サウナイキタイの投稿には「羽衣」「体になじむ水」という言葉が繰り返し現れ、全国のサウナーがこの季節をめがけて豊前へ向かいます。
- 名称
- 畑冷泉館(はたれいせんかん)
- 場所
- 福岡県豊前市大字畑708-2(水神社境内) Google Maps
- 開館時期
- 毎年夏季のみ(2026年は7月11日〜8月31日、9月5日・6日)
- 時間
- 10:00〜17:00(受付は16:30まで)
- 料金
- 大人(中学生以上)500円・小学生200円・未就学児無料
- 水風呂
- 15〜16度の湧き水掛け流し






